ワイキューブ|お客様の声|株式会社美術出版サービスセンター様



厳しいビジネス環境の中、産業構造の変化により、組織改革を迫られた企業は少なくありません。 今回のゲストである株式会社美術出版サービスセンター様についても、例外ではありませんでした。

誰しも小学校や中学校の頃に図工や美術の時間で使ったことのある“学習教材”。同社は、その教材の卸売をメイン事業としており、美術教材市場では業界No.2のシェアを誇っています。これまでの同社の組織は完全トップダウン型。経済が右肩上がりに成長した先代社長時代に、そのスタイルが確立されました。
しかし、市場の縮小がきっかけに、その経営スタイルにほころびが生じ始めます。会社の存在意義を今一度、真剣に問い直すべく、現役社長が着目したのは現場変革のキーマンとなる中間層の社員でした。

今回は、現場で組織改革に取り組んだ株式会社美術出版サービスセンター代表である大下社長と、実際にプロジェクトに参加され、中間層の中でも中心的な存在である亀下部長をお呼びし、それぞれの観点からお話を伺いました。

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左:社長 大下正悟 氏   右:部長 亀下直樹 氏
 
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先代のトップダウンの組織から、ボトムアップの組織へと転換を迫られたきっかけとして、少子化などの環境の変化があったとお聞きしたのですが。
大下
はい。ただ、少子化というのは、日本の大きな流れではあったので、我々も重々承知してはいたんです。
はい。
大下
けれど、予期せぬ変化が起こりました。学習指導要領が大きく改正されたんですが、その当時、導入されたのがゆとり教育でした。それに合わせて週五日制になり、授業数も減少することになったんです。
覚えています。10年くらい前に、土曜休みということで喜んでいましたから。
大下
そう。ですが、我々からすると、あれが大きな変わり目だったんです。というのも、新たな学習指導要綱では図工・美術の時間が大きく減らされてしまったからなんです。我々としても、これでは既存事業の成長にも限界が来るだろうとわかったんです。
ということは、既存事業以外の、新規事業なども検討を?
大下
はい。もちろんです。当時はまだ先代の社長がいて、私は、営業担当をやっていたんですが、起案して新しい事業を立ち上げたんです。
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どのような事業だったんですか?
大下
スクール事業です。美術出版社というグループ会社があって、ちょうどものづくりをテーマにした雑誌が創刊されたんです。
ええ。
大下
その雑誌と合同企画ということで、リアルでものづくりが体験できる教室を展開したんですよ。
雑誌と連動というのは、すごく面白いアイデアですね!
大下
ありがとうございます。ただ、ビジネスとして難しくて、結果的には撤退してしまったんです。
残念ですね・・・。
大下
他にも美術出版社の発行する雑誌と連動して、ワインやアートのスクールなど、色々と試みましたが、どれひとつとして事業として成立しなかったんですよね。結局。


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新規事業は1割当たれば良い方、と言われていますが、当時展開した新事業が成功しなかった原因は、何だとお考えですか?
大下
私は、幹部層と現場社員との関係性に原因があったと考えています。
それは・・・どうしてですか?
大下
今はもう違いますが、当時うちは典型的なトップダウン型の組織でしたからね。経営陣だけで方針を決定してしまい、それを社員に伝えるだけだったんですよ。
社員の方は、どう感じていたんでしょうね。
大下
現場は上からどんどん課題を投げかけられるんですが、「今まで以上の仕事が振ってきそうで心配だ」とか「会社はなぜ違う事業をやっているの?」とか、よくわからない状態だったんじゃないかな。実際、どうだった?
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亀下
そうですね。その当時、私は、現場の仕入れを担当していたんですけども、新しい事業(教材卸業以外)というのは、内部処理の負荷や新事業分の在庫増などを考える我々には、ほとんど理解できませんでした。
そうだったんですね。
亀下
社員からしたら、スクール事業をやることで実際に利益が出るのか疑問で。そんな中でも、黙々と仕事するしかありませんでした。
急に上の人間が決めたことだから、みたいな感じだったんですか?
亀下
いや、事前にある程度の説明は経営陣からありましたけどね。でも、社員の理解や納得が得られないまま、上の方だけで話が進んでいる印象はありましたね。
うーん。なるほど。
亀下
業績報告も定期的にありましたが、社員が思っている以上に伸びないので、いつまで運営するのか不安が増していったのを覚えています。
経営陣からの説明は、具体的にされていたんですよね?
大下
ええ。経営陣が社員を集めて、教室事業の目的やビジョンは話していたつもりだったんですが
それでは・・・足りなかった?
大下
今から思うと、そうですね。社員たちにとってはただの上の決定事項で、その事業に自主的に参加して一緒に作っていこうなんて思ってなかったと思いますよ。当然といえば当然なんですが。
亀下
そうですね。社員からしたら、正直、受身にならざるを得ない状況というのはありました。
というと?
亀下
例えば、幹部層が提案をしろといってきて、提案するじゃないですか。
はい。
亀下
で、実際に提案するとその場で「それは違う!」とか言って却下されたり、提出した案件やデータについての結果報告がなかったり、逆に、ここを改善するとより良くなる、というようなポジティブなフィードバックもなかったんですよ。
うーん。それは・・・。
亀下
ですから、経営幹部の態度から中間層や部下からの新しい意見を取り入れていこうという心意気が感じられず、現場は、ただただ粛々と指示に従うしかなかったんです。下手に頑張っても、やる気を殺がれるだけですからね。
つまりそれが、経営幹部と社員とのコミュニケーションがうまく図れていなかったということなのですね。
亀下
ええ。
大下
私も当時は現場側でしたからね。経営幹部層との壁は、ひしひしと感じていました
想像以上に、深刻な状況だったんですね。

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そのことがあって、トップダウン型の経営から脱さなくてはいけないと決意されたんですよね?
大下
はい。ちょうど私が社長に就任して、数年くらいたった頃かな?ワイキューブの中間層教育に関するセミナーにたまたま参加したんです。
はい。
大下
そのとき、組織っていうのは、ミドルの層が上からの方針をちゃんと理解して、経営的な視点を持って動かなければ、意味がないというような内容で。
話を聞かれて、どうお感じになりましたか?
大下
いや、まさにその通りだと思いましたよ。先代たちがパワーのある経営陣だっただけに、中間層は上から言われてやるのが当たり前になってきていた。自分たちで創造的に動くことはしなかったし。それに・・・
それができる状況でもなかった、ということですよね。
大下
はい。じゃあ、どうすればいいんだということで、ワイキューブさんの話を詳しく聞いてみたいと思いましてね。
ありがとうございます。我々の提案に、共感して頂いて嬉しかったです。
大下
ワイキューブさんが提案をくれたように、正直、一方的な講義型の研修では、効果が限定されてしまうと感じていました。今回は、参加する社員が主導で回していくというタイプのプロジェクト型研修ということで、興味が沸きましたね。
ありがとうございます。
大下
それと、組織自体も再編して、幹部メンバーもちょうど入れ替わりの時期だったんです。ですから、以前と比べたら経営幹部層と社員との壁も低くなってきていてはいました。ですから、会社をもっと良い方向にもっていくために、このタイミングで始めたいと思ったんです。

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中間層に働きかけて会社のプロジェクトを進めるにあたり、会社のどのような点に着目しようとお考えでしたか?
大下
この時点で、もっと強化していくべきだと感じたのは、組織の「ヨコのつながり」でした。特に中間管理職同士のヨコの連携です。
ということは、つまり、部署間同士のコミュニケーションが不足していたんでしょうか?
大下
そうですね。部内での上下の連携はとれていたのですが、部門間同士の結びつき・連携はすごく弱いとは感じていました。
それは・・・。
大下
週一回、連絡会議などは中間層メインで集まってやっていたのですが、なんだかもう、全然うまく機能しないんですよ。
業界や業種を問わず、本当によくあるケースですよね。
大下
なんというか、主体的なメンバーと、そうではないメンバーの実力や能力の差が顕著に出てしまっていて。
バラつきは、必ず出ますからね。
大下
まあ、管理職がそもそも何をやるべきか、会社として教えてこなかったというのもありますしね。
なるほど。
大下
でも、だからこそこのタイミングで、リーダーシップ、提案力、人材育成など、中間層のそもそもの「役割」を教えなくてはいけないと思ったんです。

(次回は、プロジェクトの様子と、その後に行った社内の取り組みを通じて、変わりはじめている美術出版サービスセンター様の今についてお聞きします。)


インタビュアー:金入 常郎/小森 勇太
クリエイティブディレクション/デザイン/文:小森 勇太
写真 : 三浦 希衣子

株式会社美術出版サービスセンター様

  1. 【前編】中間層に一番教えなくてはならないこと。それは、「役割」。
  2. 【後編】嫌われた研修プロジェクト。

今回のゲスト

社名:株式会社美術出版サービスセンター
代表者:代表取締役 大下正悟
事業内容:図工・美術教材・画材卸売事業、書店営業代行業務、ミュージアムショップ運営事
本社:東京都新宿区市谷本村町2-19
企業HP:www.bijutsu.co.jp/bsc/