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メンタルヘルスケア、ストレスマネジメント、ワークライフバランスなど、心身的なバランスを保ちながら働くことが求められる現代。職場に急増する「うつ病」に、会社として具体的にどう立ち向かったらいいのか?今回は中小企業の労務環境に詳しい社労士の先生をお招きし、お話を直接お聞きしてみました。
ゲスト:黒川健吾 〔KUROKAWA KENGO〕
中小企業の労務専門の社会保険社労士としてワイキューブも担当。自社の採用でも、「人とのコミュニケーションが苦手な人は、うちで働くのは無理」と公言。「経営者のパートナー」という姿勢を貫く経営参加型の社労士としても有名。
インタビュアー:吉池千絵 〔 YOSHIIKE CHIE 〕
1978年生まれ。「適度なストレスが人を成長させる」という考え方に基づいて、精神的・身体的なストレスを数値化するYSS(ワイキューブストレスサーベイ)を開発。経営企画の戦略スタッフとして活躍する傍ら、クライアント向けには組織活性を目的とした評価制度の見直しプロジェクトなども推進中。
- 吉池
- 黒川先生、いつもお世話になっています。今日はよろしくお願いします。
- 黒川
- いえいえ、こちらこそ。よろしくお願いします。
- 吉池
- 今日はせっかくなので、中小企業における社員のストレスマネジメントについて、ちょっと突っ込んだお話を伺いたいと思っていまして。
- 黒川
- わかりました。どんどん聞いて下さい。具体的には、どういう事を聞きたいですか?
- 吉池
- 最近、とくに増えている社員の「うつ病」について、専門家の視点でお話を伺ってみたいのですが。
- 黒川
- まず、うつ病の人って潜在的にはかなりの確率でいるんですよね。うつ病の労災申請が今、年間1000件くらいですけど…これが、10年前は年間50件くらいしかなかったのね。
- 吉池
- じゃあ、やっぱり、増えているんですね。
- 黒川
- こういう、時代的な背景というものあると思うけど、それ以上に法律が整ってきたから申請しやすくなったというのもありますね。
- 吉池
- では、それほど深刻に考え過ぎなくてもいいのでしょうか?
- 黒川
- いや、だからといって放っておくわけにはいきませんよ。経営者として考えると「うつ病」は業務災害になりますから。認定されたら、国から治療費こそ全額支給されますが、会社はその責任を追及されてしまう。
- 吉池
- それは、損害賠償で訴えられる可能性があるということですよね?
- 黒川
- そうです。ですから何千万、何億円の訴訟になる可能性を考えたら、経営上のリスクマネジメントとしても社員さんのストレス対策をしておくことは重要ですよ、って日頃から経営者の皆さんに言っているわけですが。
- 吉池
- でも中小企業って、そういった対策が遅れていますよね。
- 黒川
- かなり遅れていますよ。大半の会社が全く手付かずでね。そもそも、何していいかもわからない。「そういうのは、上司が面談してケアするものだ」とか言いますけど、上司にだって、そんな余裕ないわけですよ。というか、上司の方がうつになってたりしますから。
- 吉池
- それは、笑えませんね・・・。取り組みが遅れているのは、経営者が、そのリスクの大きさを十分に理解していないからなのでしょうか?
- 黒川
- うーん、どうかな。。。というより、理解しようがないのかもしれない。普通は、どこの会社も問題が起こってから動き始めるでしょ?
- 吉池
- そうですね。予防じゃなく対症療法的というか…。
- 黒川
- そうです。自分の所では10年間、うつの社員はいなかったよと。うちは大丈夫だと思ってるわけです。でもね、それは僕から見たら、“たまたま”なかっただけ。ラッキーでしたねと。とはいえ、世相として今ほどうつ病が多いのであれば、万が一を考えて保険はかけておかなきゃ。会社の中で、誰かがうつ病になるとね…会社の扱い方次第で大変なことになる。それこそ、一つタスキ掛け違えたらもう戻らないですよ、信頼関係が。
- 吉池
- それは…例えばどんな状況なんでしょうか?
- 黒川
- 日常の職場で、想像を絶するような行動をしてしまう人が沢山いますよ。急に走り出して会社から抜け出してとか。自宅で待機しろと言っても勝手にお客さんのところに行って、あることないこと話しちゃうとかね。いや、もうほんとに、とめられないですよ。
- 吉池
- …それはなかなか、イメージできないですね。
- 黒川
- でしょ?だけど、そういう事が現実として起こる。でも、それまで周りも自分も気が付かなかったっていうケースが大半ですからね。
- 吉池
- それって原因は、やっぱり長時間労働だったりするんですよね?
- 黒川
- そうですね。基本的に、長時間労働と精神疾患には一定の相関関係があると厚生労働省は見ていますよ。月間100時間の時間外勤務は医師(産業医)と面接するよう指導してますし。これはいわゆる会社の安全配慮義務といってね。会社は、従業員の健康を保持しながら仕事をさせる義務がある、というルールがきちんと規定されているわけです。
- 吉池
- でも、会社の安全配慮に関係なく、うつ病になりやすい特性の人もいるんですか?
- 黒川
- それは、もちろんいますね。個人の資質としてね。ただ、例えばある社員がうつ病の労災申請をする時、残業時間が月間100時間を越えてたら、国は個人の問題だとは見ない。業務と発病との関連が強いと判断する。つまり、これはもう労災だね、となるわけです。仮に、産業医との面接もさせていなかったら、これは完全にアウトですよ。会社の責任。そうなると労災になるし、会社は損害賠償の対象となります。

- 吉池
- 対策としては、どうしたらいいんでしょう?どういうタイミングで、具体的には何をしたらいいんでしょうか。
- 黒川
- まずは会社として、線引きをきちんとしないといけない。 ストレスが過重になると、退職か休職につながる。退職の場合も自己都合か会社都合でもめるわけですけど、本人からしたら、過重ストレスを受けているわけですから会社都合だと。それって解雇でしょ?でも正直、会社は自己都合でいきたいでしょ?この意識の違いが、大きなトラブルへと発展します。まず、その線引きがどこにあるのか、会社として準備できているのか。
- 吉池
- モノサシ、判断基準を作るということですね。
- 黒川
- そうです。あと、判断基準と言えば休職からいつ復帰するかという問題もあるじゃないですか。
- 吉池
- はい。あれって、お医者さんが判断するんですよね?
- 黒川
- いや、それが微妙だから困るんです。主治医は、本人が働きたいという気持ちが見えた時は、間違いなく復職可能って言ってくるんですよ。でもね…それが本当に正しいのか。
- 吉池
- えっ!?じゃあ間違っている場合もあるんですか?
- 黒川
- 主治医は会社の環境を知らないでしょ?そういう人が働けますって認定してもね。事務職として働けるのか、営業職として売れるのか、管理職がやれるのか、職種や職務によって違うでしょ。そこの判断軸をハッキリさせるのが、一番リスクをなくす方法です。例えば会社の産業医と主治医が一致したときにOKにしますとか、最終的に判断するときは会社がしますとか、ルールを決めて就業規則に入れる。
- 吉池
- そこまで具体的に決めておかないといけないんですね。
社会保険労務士法人アーク&パートナーズ様
今回のゲスト

社名:社会保険労務士法人アーク&パートナーズ
代表社員:代表 黒川健吾
事業内容:社会保険顧問、ペイロールアウトソーシング(給与計算、勤怠管理)、
人事制度、退職金コンサルティング、助成金申請業務
本社:東京都中央区
従業員数:10名
URL:http://www.s-arc.com/





