業界のリーディングカンパニーとして全国2000社以上という顧客基盤を誇る三和技研が、設立35年目の今、大きな変革に踏み切った。2008年4月1日、株式会社への改組と同時に社名を「三和技研」から「サンワコーケン」に変更し、その想いを込めたブランドブックを取引先約1200社に配布。より一層の顧客基盤強化を図るため。社員自身が会社の強み、方向性を再認識するため。変革の背景には、そんな2つの理由があった。
三和技研がシール・ラベル印刷周辺機器のメーカーとして、実に9割以上のマーケットシェアを誇りながら、なお攻め手を休めることなくさらなる顧客基盤強化に注力したのは、協力工場の競合化という現実があったからだ。これまで、取り扱い機械生産の多くを数社の協力工場と共におこなっていた同社。しかしここ数年、製造工程だけでなく、直接印刷業者に販売をおこない、マーケットシェアに割り込む機械メーカーが現れたのだ。この状況を前に代表取締役社長・高橋氏は、自社の強みとなる顧客対応・メンテナンスサポートの更なる強化が必要だと痛感した。1つの部品交換でもお客様のところまで出向き対応する行動力。点検業務など、きめ細かいメンテナンスを行うことで稼働率を高め、お客様の工場の生産性維持・向上をサポートする。ブランドブックにもその顧客対応・サポート体制への考え方を記すことで、よりお客様とのつながりを深める企業姿勢をアピールした。

しかし、ブランドブックは外に向けてのみ、その価値を発揮するものではない。内に向けて、つまり社員自身が会社の強みや方向性を再認識するためのツールでもある。実は同社、すでに企業理念を明文化してはいたものの、それが社員全員に浸透しているかと言えば、決してそうではなかった。企業理念は、掲げるだけでは絵に描いた餅。重要なのは、その理念をどのような方法で社員に浸透させていくかという具体的行動である。サンワコーケンでの具体的行動が、企業理念に紐づく事業コンセプトを伝えるブランドブックの制作と活用だった。高橋社長は、社員全員とブランドブックを1ページ1ページ唱和していくことで、企業価値の認識統一を図ることを決意したのだ。
「お客様に会社の魅力を伝えるのは、他でもない社員一人一人。自社への理解が欠けている社員が、お客様に自社の価値を伝えることなんてできない。事業コンセプトや会社の方向性が社員全員の腹に落ちるまで、私も一緒に唱和を続けるつもりです」(高橋社長)


今回の社名変更は、シール・ラベル印刷業界を牽引してきた証として「三和」という冠を残し、「『技研』をどう変えていくか?」に焦点を当てて検討が進められた。社名は、企業価値を表すものであると同時に、今後の方向性を指し示すものでなければならない。そのため、お客様であるラベル印刷企業数社への取材を敢行。客観的な視点から感じる強みを聞き出すことで、業界内での三和技研の存在価値を明確にした。そして、度重なる取材の結果、ブランドコンセプトの軸となる3つのキーワードが浮かび上がってきた。
トラブル対応はもちろんのこと、機会の設置から使用方法の説明・研修、メンテナンスまで柔軟かつ迅速に対応する行動力の「行」。シール・ラベル印刷の仕上げ工程の自動化・省力化に貢献する機器を開発してきた工業技術力の「工」。お客様が何でも相談でき、共に問題解決策を見出せる頭脳集団になることを表す「考」。お客様取材から抽出したこの3つの「コー」を企業バリューとし、このバリューで社会に「貢献」していくという意味を込めてできたのが、「サンワコーケン」という社名だった。
社名は生き筋を示す、いわば企業の顔。数文字でそれを表現するためには、企業の強みを徹底的に整理しなければならない。単純な値段競争に傾斜し始めている業界の中で、お客様が、社員が、その名を目に、耳にした時、ブランドコンセプトを瞬時にイメージすることができれば、競合他社よりも一歩も二歩もリードした営業活動が可能になる。

社長就任以来、1年目に経営理念を掲げ、2年目に環境関連エコアクションを開始するなど、計画的に経営革新を実行してきた高橋社長。当然、この変革も就任当初からの構想だった。長期的な視点に立ち、俯瞰的に自社を見る重要性を認識していた高橋社長にとって、今回の社名変更とブランドコンセプトの策定は、通るべくして通った道だった。

サンワコーケンとしての新たなスタートをきった今、当面の目標として掲げているのは人材確保だ。直接取引しているお客様が約1200社あるのに対し、現在の営業スタッフは6名。顧客接続度合いをさらに深めるためにも、営業職の採用は急務だ。顧客対応・メンテナンスサポート強化を決意したサンワコーケンの事業計画の要である。そして、その後の展望として、高橋社長は東京進出を掲げている。今後の発展を想定すれば、営業効率を重視した拠点配置が必要になる。有望な人材を獲得し、人員的な余裕を生み出すことで、市場のパイが大きい東京に拠点を置きたいと考えている。人材採用と東京進出。これは全て1、2年の間に実現する計画だ。
「年間1、2人の新たな社員を採用したいと考えています。3人以上だと私一人だけでは手に負えなくなってしまうので、着実にね。理想は社員の家族の顔まで見える従業員数なんです。人数で言えば100人が限界ですかね。100人全員が自社の価値をしっかりと理解し、成長していくことができれば、企業としての力はすごく大きなものになります」(高橋社長)
経営理念を土台として新たに掲げた企業ブランドを背負い、同じ想いで顧客と対話できる社員を増やすことで、社内の一体感も高まり、顧客基盤が厚くなる。高橋社長が今日も1ページ1ページ、社員と共にブランドブックを唱和することの真意は、そこにある。
株式会社サンワコーケン様
今回のゲスト

社名:株式会社サンワコーケン
代表者:代表取締役社長 高橋 範幸
事業内容:シール・ラベル関連機器の企画・設計、総合販売およびサービス
本社:埼玉県桶川市坂田
従業員数:17名
URL:http://www.sanwacoken.co.jp/
