ページ:
- 1
- 2
- 日野
- ねえねえ、中川さん、『弁当男子』って知ってる?先日、ネット調査で、男性500名のうち2割がお弁当作って会社に持っていってるってわかって。そういう男性を最近『弁当男子』って呼ぶの。
- 中川
- へー、でも、それって不景気で節約志向だからじゃなくて?
- 日野
- それもあると思うんだけど、それ以上に男性の価値観も変わって来てる。昔だったら「カッコイイ車を買って女の子にモテたい」っていう普通な発想が、今の若い世代にはあまりないらしいのね。今、自動車の国内需要が伸びないのは、そういう背景もあるわけ。
- 中川
- 俺らの世代からすると考えられないな(笑)

- 日野
- 一昔前だったら、料理といえば女性がするものだったのにね。最近では、男性が料理するのも普通になってきてるわよね。
- 中川
- いつの間にか、そうなっているよね。うちのやっさん(※弊社代表の安田のこと)も料理しまくってるしな。焼き鳥のタレとか作ってる(笑)
- 日野
- 若い世代は、お米を炊いて、野菜を選んで・・・っていうプロセスそのものを楽しんで料理しているみたい。元々、男性は物事を探求する特性があるから、結果的に女性が作るものより美味しいお弁当を作っちゃったりするの。本当は、料理に向いてるのよね。
- 中川
- 男性は、凝りだすと止まらない傾向があるからね。
- 日野
- ABCクッキングっていう女性限定の料理教室があるんだけど、男性用も欲しいって要望が以前からあって、今は男性向け教室が増えてるの。夫婦とかカップルで参加したりしてね。一緒に料理できて、楽しいらしいわよ。
- 中川
- なんかさー、男女の境目が曖昧になってきてるよね。最近の若い男とか見てると、ヒゲとか薄くなってきてないか?気のせい?
- 日野
- それは専門外だからわからないけど(笑)でも、生物学的には、男性の精子の数が減少しているのは間違いないです。原因は環境ホルモンなのかストレスなのか…色々と言われているけど。ただし、生物的な意味での女性性と男性性の違いは確実にある。そこは変らない。その本質的な部分が混じってしまったら、子供が生まれなくなっちゃうから。脳の働き方だって全然違うのよ。
- 中川
- あのさ。よく、女は現実的だって言うでしょ?リアリストだと。で、逆に男はロマンチスト。でも一方で、女は感情の生き物だって言うし、いつか白馬の王子様が迎えに来てくれるとかって夢を抱いてたりするじゃない?でも、どう考えても白馬の王子様は現実的じゃないよね。夢みたいな話だしさ。
- 日野
- はいはい。それ、よくわかる。
- 中川
- 「一体どっちなんだよ」って思ってさ。リアリストなのか、ロマンチストなのか。
- 日野
- リアリストとロマンチストって、対立概念じゃないのよ。女性はあくまでリアリスト。白馬の王子様っていう憧れも、女性は必ずと言って良いほど、学校や職場の身近な男性や芸能人にそのイメージを投影するのよね。これは年代に関わらず同じ。
- 中川
- ああ、確かにそうかも。
- 日野
- だから女性はロマンチックなイメージを、現実に引き寄せて考えるの。男性は、そうじゃないでしょ?

- 中川
- 逆に、男はなるべく現実に引き寄せないようにしているかもな(笑)男は大人になっても、ぼんやりした女性の理想像があって、それを誰にも壊されたくなかったりね。
- 日野
- 女性も男性も、ロマンチストな部分を持っていて。それは人それぞれレベルがあるけど。でも、その処理の仕方には性別の特徴がちゃんと現れる。男性は、ロマンはロマンのままで大事にする。女性は、ロマンをリアルに処理しようとする。
- 中川
- ロマンをリアルに?
- 日野
- 例えば・・・わかるかなー。女性は「安室ちゃんみたいになりたい」っていう感覚なの。安室ちゃんは現実として世の中にいるでしょ?そうやって感情移入できそうな対象を見つけて真似ようとする。
- 中川
- 安室ちゃんみたいになりたいって、うちの誰かも言ってたな(笑)
- 日野
- 女性誌には沢山のモデルがいるけど、男性誌でもモデルはいるけど、でも、少ないでしょ?女性誌って男性がテレビで見たことも無いような雑誌モデルってすごく多いんですよ。それって、女性が見てるのは「ファッション」のようでいて、実は「人」だからなの。
- 中川
- 確かに、例えば男で「渡辺謙みたいになりたい」っていう奴も…いるかもしれないけど(笑)あんまり見かけないしね。
- 日野
- でしょ?
- 中川
- 男は感情移入の対象が「人」じゃないのかもな…。あ、でも、歴史上の人物にハマるのは、男性の方が多かったりするよね。あれは?
- 日野
- 人は人でも、歴史上の人物は、もう実在してないでしょ(笑)だから男性は女性よりもロマンチストだって言われるのよ。ロマンがロマンのままだから。

- 中川
- そういうことか。
- 日野
- 腕時計にしろ車にしろ機能がいかにすごいか、歴史が長いかっていう風に男性は“部分”に着目する。一つの部分から世界観をイメージして満足できちゃうから、その他はあまり気にしない。でも女性は"全体"のバランスを大事にするわけ。例えば家の中でも、歯ブラシは可愛いのにスリッパがオトナっぽいとか、そういうアンバランスさは嫌なの。
- 中川
- 女性の方が、物事を総合的に見てるんだな。
- 日野
- そうそう。例えば家電でいうと、男女で同じスピーカーを見に行くじゃない?男性は「低音や高音がよく響いて、いいね」とか言うのね。でも女性は「音はいいけど、でも色が可愛くない」とか言うの。面白いでしょ?
- 中川
- それも、部屋に置いた時や自分が使っている時の想像をリアルにイメージするってことだもんな。なるほど、女性は現実的って意味がわかった気がする。

- 日野
- でも、生物的な意味での性別は不変でも、環境は激変しているから。社会的な意味での男女の境目は曖昧になってきてるわよね。特に経済的な意味では社会全体が女性化してるって思う。
- 中川
- 男女の境目が曖昧になるってのはわかるけど、全体が女性化しているっていうのはどういうこと?女性側に偏っていってるの?
- 日野
- そうなの。お金の視点で見たらすごくよくわかる。
- 中川
- それって、女性の方がお金を使うってこと?
- 日野
- そう。単純に、女性は男性よりお金を使うシーンが多いのよ。
- 中川
- 何で女性の方が、男性よりもお金を使うの?
- 日野
- 一つ言えるのは、男性が意思を持って買い物をするシーンが限られているから、それ以外の購買シーンでは女性が主導権を持っちゃう。ハー・ストーリィでは107アイテムの消費者調査を実施してるんだけど、例えば生活用品の場合、買うか買わないか決めているのは9割以上が女性なの。家のリフォームとか大きい出費でも、4割から5割は関与してるみたい。
- 中川
- あ、それならわかる気がする。でも、だったら…男は、自分の意思で何を買ってるの?

- 日野
- 男性が買うか買わないか決めてるのは、ほぼ趣味の領域だけなの。
- 中川
- え?そうなの?
- 日野
- 鉄道とか、釣りとか、カメラとかね。さっきも言ったように男性は探求型だから一点集中。で、それ以外のことはあまり興味ないの。生活品なんて大抵、「お前の好きにしてくれ」って奥さんや彼女に任せてる。だから一緒に暮らしていても、下着も、靴下も、スリッパも、歯ブラシも、生活用品のほぼ全ては女性が何を買うか決めている。
- 中川
- ・・・言われてみればそうかも。俺もゴルフには凝るしな。
- 日野
- だから「消費者」って言っても、実態としては女性優位なのよね。
- 中川
- でも、それは今に始まったことじゃないよね?そういう男女の傾向は昔からだし。
- 日野
- そうね。それに加えて経済の女性化を後押しする変化があと2つあるの。1つは、これは今さら言うまでもないけど、女性の社会進出。購買意欲だけじゃなくて、自ら積極的な消費が可能な経済力を持った女性がどんどん増えてる。それによって、消費者に占める女性の割合はさらに高まっているの。
- 中川
- それは、これからも増えることはあっても減ることはないだろうね。
- 日野
- あともう1つ、これがあの「弁当男子」の話とつながるんだけど、男女の社会的役割の変化ね。例えば男性の変化って、そもそも女性がそういう男性を望んでいるという事の結果なわけ。
- 中川
- 女性が男性に望むものが変わったってこと?
- 日野
- そう。男性用化粧品が増えたのは、女性が男性にも美しさを求め始めたから。男性が育児に積極的なのも、料理が得意なのも、それを女性が望んでいるからなの。その変化を起こしているのも女性なら、そこに合わせて新しいビジネスを仕掛けているのも女性。


