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↓対談は、この地図の青い(C)の辺りで行われました。すごい晴れてました。
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- 安田
- 前澤君、今、欲しいものとか、あんまりないでしょ?
- 前澤
- ないですね。特に。
- 安田
- 僕はこのまえ、どうしても我慢できなくて買ったものがあって。懐中電灯なんですけどね。すごいんですよ。長さが10cmくらいなんですけど、バイクのヘッドライト位の光が出るんですよ。
- 前澤
- えっ?懐中電灯ですか?何に使うんですか、それ。
- 安田
- みんな聞くんですよね。何に使うのかって(笑)
- 前澤
- いや、だって。使い所ないですもん(笑)フツーに。

- 安田
- 違うんすよ。使いどころがあるから買うわけじゃないんすよ。
- 前澤
- 生活必需品でないことは、確かですよね。
- 安田
- だってね、10cmしかないのに、バイクのヘッドライトと同じくらの光が出るって聞いたら、欲しくなるでしょ。普通。
- 前澤
- えーーっ?ならないですよ。
- 安田
- そんなこと言ったらこの部屋にある自転車はどうなんですか。ブレーキがない自転車なんて、使えないじゃないですか。使い所がないから部屋に置いてあるわけでしょ?
- 前澤
- まあ、そうですね。
- 安田
- でも、まさにこれこそが「値段を下げないとモノが売れない」、「不景気だからモノが売れない」っていうのがウソだと思う理由なんですけどね。テストしてみましょうか?この懐中電灯、2万7千円するんですけど、安くしましょう。1万円でいいですよ。いや、もう5千円でいいや。買いますか?
- 前澤
- 買わないっす。
- 安田
- でしょ?買わないでしょ?じゃあ景気が良くなったら買いますか?
- 前澤
- 買わないっす(笑)

- 安田
- ほら!!安くしても、景気が良くなっても、買わないじゃないですか。でも、僕は我慢ができなくて買っちゃったんですよ。僕にとってはこの懐中電灯はめちゃくちゃ「カッコいい」んですよ。
- 前澤
- なるほど。そうですね。

- 安田
- 実は、会社経営について前澤君から強く影響されたことが一つありまして。
- 前澤
- はい。えっ?そんなのあるんですか?
- 安田
- あるんですよ。実力主義について。
- 前澤
- あー、はい。実力主義。
- 安田
- 前澤君て、年功序列的な考え方を持ってるじゃないですか。基本的に。
- 前澤
- そうですね。
- 安田
- 大体、若い経営者ってスピード優先ですよ。入社してくる社員も若くして何かやりたいっていうタイプが多いんで。そういう想いに応えたいものなんじゃないかって。
- 前澤
- そういうものなんですかね?
- 安田
- で、うちは実力主義ですよって言ったら「それは安田さん、イケてませんね」みたいに言われて。

- 前澤
- えー、言いましたっけ?そんなこと。
- 安田
- ええ。
- 前澤
- んー、はい。言いましたね(笑)
- 安田
- それで、確かにそうかもしれないと気が付いて。超が付く実力主義だった会社の風土を、少しづつ変えているんですよ。能力を磨くための競争なら良いですけど、評価の仕方次第では、実力を誇示するための競争にすり替わる可能性もありますから。
- 前澤
- そうだったんですか。なんか恐縮しちゃうな。
- 安田
- でも、実力主義の組織には、エネルギッシュな人が入社してくる傾向はあるって思いません?そもそも前澤君自身、上場企業の社長なんていうすごい実力主義の世界に生きてるじゃないですか。
- 前澤
- えっと。会社の短期的な数字とか業績とか効率とかを見たら、そうかもしれません。でも、僕がやりたいのは「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」ってことなので。そういう状況を作るってことから逆算して考えると、今、実力主義を経営に採用するっていうのは間違っているっていう判断なんですよ。
- 安田
- なるほど。
- 前澤
- 10cmで車のライトと同じ位の光が出る懐中電灯は、僕からしたら使い所がないけど、安田さんからしたら超カッコいい。だから、お金を使って買ったわけで。それって素敵なことじゃないですか。競争しているわけじゃない。でも、企業が競争すること自体に精を出せば社員も社内で競い合うし「カッコいい」っていう価値観の多様性なんて生まれるはずもないので。

- 安田
- 競争原理がないと、世の中が腐っていくってことはないですかね?
- 前澤
- 本質的には、そういうことにならないと思います。例えば、競合他社を超えるぞとかよく聞きますけど何で競争しなきゃいけないんでしょうね?
- 安田
- それは、もしかすると人間が、比較せずには生きていけない生き物だからじゃないですかね。
- 前澤
- それって、たぶん、間違った認識じゃないですか?
- 安田
- でも、そうでないと現状に満足しきってしまうじゃないですか。アガっちゃうじゃないですか。人生アガリって。そうしたらその後、その人は何を目的に生きていくんですかね。
- 前澤
- アガってしまうってことはないと思いますよ。人生はずっと続いていく。個人も、会社も自分の存在意義が何となくわかっていて、無理なく過ごしている。そんな社会が「カッコいい」って僕は思ってます。
- 安田
- でも前澤君、ゴルフとかめっちゃ練習してるじゃないですか。
- 前澤
- それは(笑)ちょっと、話を台無しにしないで下さいよ。
- 安田
- 「しょせんゲームなんだから」って言っても、すごい悔しがるし。
- 前澤
- いや、それは他人との競争じゃなくて、自分との戦いですから。ゴルフって結局そうじゃないですか。
- 安田
- んんん。なんか、ちょっと上手いこと言いくるめられてしまった感じがしますが(笑)
- 安田
- でも、僕が前澤君の考えにすごく共感するのは、もう大して欲しがられてないようなものを競い合って作ってもダメだと思うからなんですよ。そうじゃなくて人が欲しいと思うものを作らないとダメなんですよ。不景気だとか好景気だとかは、無関係ではないですけど、決定的に重要なものじゃない。
- 前澤
- 欲しくないものは、欲しくないですもんね。
- 安田
- でしょ?なのに、会社が生き残るためにひたすら競争するなんて、どう考えてもオカシイじゃん。カヤックの柳澤さんも言ってましたけど、企業は「永続」を目的にすると道を誤るんじゃないかって。
- 前澤
- それって、さっきのリーマンブラザーズとか?の話ですかね。
- 安田
- そうですね。でも、全ての企業について言えますよ。そもそも企業は永続的発展を目指しちゃいけないんじゃないかと。
- 前澤
- うん、うん。
- 安田
- 企業が、もしミッションを達成したら、それは喜ぶべきことじゃないですか。

- 前澤
- そうですね。めでたいことですよね。
- 安田
- でしょ?素直に喜べばいい。でも同時に、意味的には「失業」するわけですよね。会社として。
- 前澤
- でも仕方がないですよね。そしたら、新しいミッションを見出して掲げるしかない。次に何が求められるのか、それを想像して価値があるものを作り出せば。
- 安田
- そうですよね。たとえば、不二家さんなんかは「日本においしくて安全な洋菓子を」っていうミッションでずっとやってきたわけですよ。当時は、洋菓子なんて食べたことない人ばっかりだったし、店は少なかったし、高かったし。それで、みんなが安全でおいしいケーキやシュークリームが食べれるようになったんですよ。達成したんですよ。
- 前澤
- でも今はもう、誰も求めてないですもんね。
- 安田
- そう。でも、そうなったのは、不二家さんの貢献あってこそですよ。だから今は、もっとおいしいとか、もっと個性的だとか、そういったものが求められている。でも、賞味期限切れの卵を使ったり偽装したりとかって問題になって、そのこと自体も問題ですけど、もっと言うと、ミッションを終えたのにそのまま存続しようとした所に既に無理があったんじゃないかと思うんですよね。
- 前澤
- 本当、そうだと思いますよ。
- 安田
- 一般的に、社長は、まずもって会社を潰さないことが大切だって言われたりしますけど、前澤さんもそう思います?
- 前澤
- いや、思ってないですね。
- 安田
- やっぱり。
- 前澤
- 成長に限界って、必ず来るじゃないですか。永続的な成長なんてありえないと思ってるんで。

- 安田
- ま、人間もそうですからね。
- 前澤
- 上場企業を経営している人間がこんなこと言うと、怒られちゃうかもしれないですけど。
- 安田
- 確かに規模的な成長は、限界がありますよね?従業員規模とか売り上げ高とか。でも、それこそ「カッコよさ」って限界はないじゃないですか、きっと。
- 前澤
- そうですね。でも、少しシビアな見方かもしれないけど、それは僕らを取り巻く社会システム、世の中のしくみが変わらないと、考え方として通用しない。だから、どっかで何か働きかけをしないと、僕が本当にやりたいことは出来ないなって思ってますけどね。
- 安田
- 本当にやりたいこと…。じゃあ上場したのも、そのための手段なんですか?
- 前澤
- んーー。どうだろ。手段として狙ったというよりかは、上場については「やってみるか」っていうチャレンジの意味合いがありましたね。僕らのやってきたことを、世の中に問うというか。でも、上場した結果として、会社経営を取り巻く社会のしくみ、金融システムとか力学とかが見えてきたっていうのも事実なので。
- 安田
- なるほど。
- 前澤
- それが色々と勉強にもなっているので。上場を、目的を達成するための手段にできるかどうかは、これから問われるんでしょうね。
- 安田
- あの…前澤君が、本当にやりたいことって何なんですか?
- 前澤
- それは…まだ秘密です(笑)でも、本当に色々とやりたいことがあるんですよ。だから、そのうちわかると思いますよ。

- 安田
- じゃあ、余命1年って言われたらどうします?今すぐやります?
- 前澤
- 余命1年ですか…うーん。。。それだと間に合わないので、色々な人に託して死んでいくんじゃないですか?工程表とか作って。
- 安田
- じゃあ、僕にも何か、託してくれるんですか?
- 前澤
- はい。それはもう、沢山ありますから。
- 安田
- えー!そうなの?託されたくないなー(笑)でもまあ、楽しみにしてますかね。
- 前澤
- お願いしますよ。ぜひ。
企画/取材 : 安田 佳生、森山 大朗
クリエイティブディレクション/デザイン/文 : 森山 大朗
写真 : 三浦 希衣子

株式会社スタートトゥデイ
代表取締役 前澤 友作
1975年、千葉県生まれ。早稲田実業学校卒業後、バンド活動の一環で渡米。1998年、輸入レコードのカタログ販売をおこなう有限会社スタートトゥデイを設立。同時期、バンドでメジャーデビューを果たすも、ビジネスの“想像(SOZO)”と“創造(SOZO)”に魅了され、バンド活動は休止し会社経営に専念。2000年、『社長が欲しい、スタッフが欲しい、売って楽しい』をコンセプトに、次々と個性的なオンラインショップをオープン。2004年その集積として、ファッションを中心としたインターネットショッピングサイト『ZOZOTOWN』を開設する。現在は、『世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。』という企業理念の元、『ZOZOTOWN』の他、ファッションに関する各種情報サービスを展開するインターネットサイト『ZOZORESORT』を運営している。


